3/16(日)に行なわれるさいたまシティマラソンのランニングスクールが、昨年12/15(日)、レッズランドで開催されました。
このスクールはハーフマラソン(21.0975km)完走を目指す方のためのもので、計3回にわたって行なわれます。その第1回・午前の部の様子をレポートします(第2回は1/26(日)、第3回は3/2(日)開催予定)。
〈開講式〉
スクールに先立ち、クラブハウスで開講式が行なわれました。
まず、主催者であるさいたま市スポーツ振興課課長の永井正氏の挨拶から。「ランニング専門のコーチに教わる機会というのは滅多にないことで、今回のスクールには定員60名のところ3倍を超える応募がありました。3回のスクールでそれぞれにレベルアップし、大会当日には体調万全で楽しんで走っていただきたいと思います」
続いて講師陣の挨拶。レッズランドのランニングスクールでもおなじみの尾池望ヘッドコーチからは「みなさんが笑顔でゴールできるよう、全力でサポートします」と力強い言葉が。元実業団(ホクレン)選手であり、さいたまシティマラソンでは2回の優勝経験もある頼りがいのあるコーチです。
アシスタントコーチとして、レッズランドの井上コーチ、山本コーチが参加。また、協力アシスタントコーチとしてさいたま市消防局陸上部の羽田野貢史さん、満田良太さん、鬼澤秀典さんもかけつけてくれました。昨年、3kmの部年代別2位入賞という羽田野さんからは「楽しくケガのないように、走ることを楽しみましょう」という言葉をいただきました。
〈ストレッチ&体操〉
開講式の後は、各自給水を持って外へ移動。といっても、いきなり走り出したりはしません。しっかりストレッチ&体操を行ないます。
「ストレッチは普段はあまりやらないかもしれませんが、ケガ予防のためにも、体の柔軟性を高めておくことは大切です。ぜひ習慣にしてください」と尾池コーチ。股関節、お尻、足、アキレス腱など、深く呼吸をしながら体の隅々を伸ばします。
座ったまま骨盤をつかって前後に進む「骨盤歩き」も。「これを毎日やれば股関節の動きがよくなり、私のように速くなります(笑)」と尾池コーチ。腰痛にも効くとのことですので、ぜひ続けたいものです。
〈補強運動〉
ストレッチと体操で体をほぐしたあとは、フィジカルトレーニングが専門の山本コーチが補強運動のメニューを紹介。走るために使う筋肉を意識して、腹筋や背筋、ランジ、腕立て伏せなどを行ないました。
ランニングは上半身の筋肉も大事。腕立てもがんばります。
〈ラダー〉
リズムよく走るために、ラダーを使って動きづくり。左右のステップやもも上げ、ジャンプをしながら動きます。普段あまりやらない動きも多く、手と足の動きが連動しなくて「あれ?」と戸惑う姿も。
「でも、思ってた以上にみなさん、体が動いていました」と尾池コーチ。この日は気温が低く寒い日でしたが日差しが温かく、体を動かしてあたたまってきたら、参加者のみなさんの笑顔も多くなってきました。
〈腕振り&着地の確認〉
走る前に、ランニングフォームの確認をします。ポイントは腕振りと着地です。「腕振りは『ヒジを後ろに引く』と教わった人も多いかと思いますが、走るというのは前に進むことなので、腕も前に出すことを意識するように」と尾池コーチ。前にあるロープを引っ張ることをイメージするといいとのことです。
「着地は、踵(かかと)からでは体重が後ろに乗り、ブレーキをかけるようになってしまうので、地面を真下に捉えることを意識してください。ケニア人選手などはつま先着地で軽々走っていますが、脚筋力の十分出ない初心者が真似するとケガをしてしまいます」と尾池コーチ。その場で動きながら、自分でチェックしていきました。
〈45分ジョグ〉
いよいよランニングスタート! この日はチームを「マラソン大会参加経験あり/なし」の2つのグループに分け、それぞれ1km7分〜8分ペースで走るのを意識してスタートしました。ペースは、さいたまシティマラソンの関門時間と関係があります。
「さいたまシティマラソンのハーフは、制限時間2時間40分。途中関門が4カ所あり、初心者にはなかなかの難関です。スタートするまで10〜12分くらいのタイムロスがあることを考慮して自分のペースを決めましょう」(尾池コーチ)
関門制限時間から10分引いた時間でペース配分を決めると、各関門を通過するためには、
●第1関門 約7.4km地点 66分以内→56分以内 キロ7分17秒ペース
●第2関門 約10.7km地点 85分以内→75分以内 キロ7分25秒ペース
●第3関門 約13.4km地点 108分以内→98分以内 キロ7分18秒ペース
●第4関門 約17.6km地点 138分以内→128分以内 キロ7分34秒ペース
で走ることが必要です。つまり7分15〜30秒で走れる力をつければ、完走が見えてきます。
この日のコースはレッズランドの敷地内から土手を上って、往復する1周約2kmのコースを走りました。坂道もあります。
土手に出ると、視界がさらに広がり、風向きも行きと帰りでは違います。すれ違いざま、みなで声をかけ合って走ります。
「上りはリズムを崩さないで、ストライドは狭く、細かくして」「下りは腕をリラックスするように」コーチ陣のアドバイスも飛びます。
この日は45分間走りましたが、自然に同じようなペースの3〜4グループに分かれて走りました。最後はキロ6分台までタイムアップしたグループもあり「初心者とは思えない」と尾池コーチが驚く場面も。走り終えた後の参加者のみなさんの、達成感を感じた清々しい笑顔が印象的でした。
最後に、走って使った筋肉をしっかりほぐすストレッチ&体操をして、第1回目のスクールは終了です。
終了後、尾池コーチから「次回は10〜12km、余裕があれば14〜16kmと、できるだけ長い距離を走りたいと思っています。年末年始をはさみますが、今日行なったストレッチや補強運動も取り入れて、体幹を鍛えていきましょう。できれば90分ジョグを、1回はして来てほしいと思います」と宿題が出ました。
次回は1/26(日)。その日までにそれぞれのペースで練習続けることを約束して、この日は解散となりました。
〈参加者の声〉
「ダイエット目的で走り始めましたが、モチベーションを維持し続けるために大会参加を決意。どんなペースで走ったら完走できるのかわからなかったので、勉強になりました」(30代女性)
「仲間に誘われて大会参加することを決めたものの、ランニングは30年ぶり。ストレッチの仕方なども教われてよかった」(50代男性)
「3kmの部には出たことありますが、ハーフは初参加。娘と夫もスクールに応募したのですが私だけ当選したので、今日教わったことをふたりにも教えたい」(40代女性)
「初心者ですが無理せず、とても楽しく走れました。不安がいっぱいあったけれどコーチのアドバイスを聞いていたら大丈夫だって思えました」(30代女性)
「別の大会でハーフマラソン走ったときにペース配分がまったくわからず、後半歩いてしまいました。これからは普段の練習からペースを意識してみようと思います」(30代男性)
「今日は普段よりも速い6分半くらいのペースでも走りましたが、目標ペースがわかってよかった。ラダーなど自分ではできない練習は新鮮でした」(50代女性)
(取材・文 小谷祐子) |